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WDCSとホエールウォッチング 

 

なぜWDCSがホエールウォッチングにそれほど興味があるのか?結局それはひとつの産業に過ぎません。他の産業と同じく、お金を儲けるために設立された産業です。そして、むしろ、ごちゃまぜになったボートの周りのクジラを追いまわすことは、鯨を傷つけることにもなりかねません。クジラにとって何か良いことがあり得るんでしょうか。

 

まず、ホエールウォッチングは本当にクジラを傷つけるんでしょうか。端的にいえば、もし海がボートでいっぱいだったり、無責任な方法で行われていたりすれば、その可能性はあります。そしてだからこそ、WDCSがクジラを苦しめたり傷つけたりせず、騒動を最小限のレベルに抑える、信頼のおけるホエールウォッチングを推進したいと考えるのは自然なことなのです。

 

しかしそれ以上の理由があります。クジラやイルカは実際、ホエールウォッチングでたとえ間接的にでも恩恵を受けています。悲しいことに私たちは銛を打ち込まれることや、漂流する漁網からクジラを守る、また絶対に彼らの生息地を汚染しない、魚を捕り過ぎないと保証はできません。しかし、他にクジラやイルカのためになることがあるのです。

 

例えば、私たちはホエールウォッチングでクジラの保護のために人々の集めることができます。クジラ目動物は彼ら自身、素晴らしい大使になれます。クジラを救うために是非何かしたいと、人々を奮い立たせるんです。これが、皆さんに海の環境やそれに依存する野生生物について知ってもらうために、WDCSが船上に教育のための解説を置くように熱心に勧めている理由です。

 

さらにはホエールウォッチングのボートを調査の機会とすることもできます。死んだクジラについての調査はたくさん行われてきましたが、生きたクジラについては驚くほど少ししか知られていません。世界のホエールウォッチング業者は価値のある研究プロジェクトを実にたくさん行っています。これらはクジラ、クジラを観る人々、そして科学者、そしてホエールウォッチング業者自信にも利益となるのです。

 

他のメリットとして、ホエールウォッチングは、それだけで捕鯨に反対する主張となります。2つの活動は両立できないため、ホエールウォッチングは捕鯨と真っ向から対立します。ホエールウォッチングは、クジラを殺すことなく、クジラを使ってお金を稼ぐことができることを意味します。もちろんこれはクジラにとっては良い知らせですが、ホエールウォッチングに携わる海岸沿いの地域社会にとっても良いニュースです。なぜなら捕殺されるのではなく、観られるだけのクジラが生きるために必要な収入をもたらすからです。

 

野生の自由なクジラを自然な環境で観て、共に時を過ごすことは、水族館で死んだ魚をもらうかわりに芸をするクジラたちを観るよりも、充実感があり、多くを学べる新しい選択肢です。

 

WDCSはクジラやイルカを故意に殺すことや、見せ物にするためのクジラ目動物の捕獲、監禁状態での繁殖に反対運動を行っています。信頼のおけるクジラやイルカのウォッチングはそれらに取って代わる実行可能なアイデアです。

 

要約すれば、信頼でき、多くのことを学べるクジラやイルカのウォッチングは動物にも地元地域社会にも利益をもたらすので、WDCSはこれを支持します。

 

良いホエールウォチングとは 

 

WDCSは、クジラやイルカのウォッチング(以後W/W)サポーターの方々から、本当に毎年何百通もの要望を頂きます。あなたが南極大陸やオーストラリアにクジラを観に行くという、生涯の旅をする予定でも、ボストンやカリブ海での休暇中の思い出に、ふらっと半日の小旅行をするだけでも、ひとつ確かなことがあります。それはあなたが、あきれるほどたくさんのホエールウォッチング旅行の選択肢に出会うということです。

 

近年、W/Wは世界中で急激に人気が高まりました。現在50カ国以上がクジラやイルカを観る旅を催しており、さまざまな種類があります。巨大な観光船から小さなヨットまで、異なる船を持つ主催者から選ぶことができます。自分のカヤックをこいで行くことだってできます!陸上からクジラやイルカを観ることもできますし(船酔いしたくない方に最適)、ヘリコプターにのって真の「鳥瞰図」を楽しむこともできます。

 

しかし、ほとんどの人は何らかのボートでの旅を選びます。しかしそれでも、W/Wの体験は全く違うものになり得ます。1つの港から出発する何十社もの業者に出会うかも知れませんし、そうなるとどれを選んだらよいか迷うことでしょう。全ての業者が同じ体験を与えてくれるという考えは魅力的ですが、現実にはそんなことはありません。良いW/Wとは、楽しいだけでなく、たくさんのことを学べ、乗客にとって安全で、かつ見物されるクジラやイルカに配慮し、敬意をもって扱うことで、彼らの生活への侵入を最小限に抑えるものです。

 

ほとんどのW/W業者は商業的企業で、標準以下のサービスを提供する業者は、乗客が波止場で最初に見たボートに乗ったり、または単に何を体験するかを知らずにいたりして、業者を無差別に選ぶことに頼っている状態です。もし乗客が、本当に安定して教育的なW/Wだけを選べば、これは質の悪い業者に対して「彼らの行いを正せ」、そしてサービスの質を向上せよという、強いメッセージを送ることになります。そうすればクジラやイルカたちに良い影響だけを与える、提供されている全てのW/Wの質が上がります。

 

ここに良いW/Wの旅を選ぶヒント挙げます。旅行の予約や、ボートのチケット購入の前に、カタログの請求をし、展示板を読み、予約オフィスで詳細を聞いて下さい。チケットを予約したり、船に乗ってしまう前に、提供されるサービスに満足か確かめて下さい。

 

 

良いW/W業者は・・・ 

 

動物のことを第一に考えます

 

これは細心の注意を払った、信頼のもてるボートの操作をすることです。クジラの世界には私たちは招かれざる客で、クジラが観られることは光栄なことだと、ともすれば忘れがちになりです。私たちはクジラに与える混乱を最小限に抑える責任があります。特に写真を撮りたい時には、出来るだけクジラの近くに寄りたいという衝動に駆られますが、彼らは真の野生の動物で、混乱を与え続ければ、餌を採ったり、休んだり、子供を育てたりする能力に深刻な影響を与える可能性があることを忘れないで下さい。もしバスに乗った観光客があなたのリビングルームでバスを降りて、日曜の昼食をとるあなたの家族の写真を撮ろうとしたらどう思うか、想像してみて下さい。実際は、クジラの周りでの注意を払って、思いやりを持った振る舞いでも、彼らとの十分な遭遇ができ、さらに彼らの自然な姿が観られるというおまけまでつきます。逃げていくクジラを観るのは楽しいことではありません!

 

W/Wを管理する現場の規制に従います

 

世界のいくつかの場所では、法によるW/Wを管理する地元の規制があります(一定の距離までしか近寄ってはいけないなど)。しかし他の多くの地域では規制が十分に強化されていなかったり、運営に関する規定があっても執行する方法がなかったり、参加する業者の善意にゆだねられていたりします。さらに悪いことに、W/Wが「野放し」状態で、無責任な業者が乗客を出来るだけ早くクジラに近づけるために、クジラやイルカを苦しめ続けるのを止めるものが何もない状態の地域があります。乗船する前に、その地域で規制や自主規制が行われているか確かめるのも良い考えです。業者に質問をして、あなたが適応されるべき規制を知っていて、船長が無責任なことをしたり、動物のことを第一に考えていないと感じたりすれば、遠慮なく指摘すると示して下さい。

 

十分な安全対策を行います

 

安全なホエールウォッチングボートには、経験を積んだ船長、応急処置や救助法をよく訓練された船員、適切な安全装置(VHFラジオ、質の良い救命胴衣、照明弾、膨張式救命ボート、食料と水の貯蔵など)、然るべき保険、最大乗船客数、テスト済みの正しい防災法、そして全ての乗船客に対する適切な安全のための説明などがかかせません。

 

十分に乗客に配慮します

 

これは乗客が乗船して体験できることを正直に広告することです。「クジラの目撃率」を発表することが含まれることがありますが、全ての航海でクジラが観られると保証するのは、ほぼ例外なく不可能なので、実際の数字が公表されている必要があります。妥当なチケットの価格、時間通りの出発、清潔な船、親切で好意的な船員など、航海の全ての面がプロであるべきです。もし海が荒れていたり、天候状態が悪かったりして出航の中止がやむを得ない場合、料金の返金や後日無料で乗船が可能かなども確かめましょう。

 

船に動物学者のガイドがいます

 

これは本当に大切なことで、「月並みの」旅と実に記憶に残る体験とを別けるのがこのガイドです!できれば乗船前と航海中の両方に、何らかの教育的な解説のある船を選んで下さい。大型の船には訓練された動物学者がいることがあります。これは常に望ましいことですが、小型の船でもガイドの役割をこなす教育された船長がいることがあります。

 

良いガイドは、あなたが観たいと思っている様々な種のクジラやイルカに関して、また同様にその地域に住む他の海生動物に関して、陽気に楽しい解説をしてくれます。彼はまた、地元の海生動物やそれを取り巻く環境が直面している脅威についてもよく知っています。ある程度離れた所にいるクジラやイルカをはっきりと特定するのは難しいことがありますが、こんな時に訓練されたガイドの目が「小さい黒いヒレが右舷に!」と特定するのを手伝ってくれるのです。またガイドは観察しているクジラやイルカの行動を説明することもできるでしょう。これはあなたのホエールウォッチングの理解と楽しみを本当に増してくれます。

 

本当によくまとめられた解説は、スライドやポスターや地図、クジラの声を録音したものなどが含まれていることがあります。またガイドが種を特定できるように写真付きのカタログや、その地域のクジラやイルカを描いたものや、髭、あごの骨、または歯などのサンプルを観客に見せるために回すこともあります。

 

研究を行います

 

これは良いW/Wになくてはならない要素ではありませんが、船に研究者がいることの利点はいくつかあります。いくつかの船では動物学者のガイドが船を観察の記録を残したり、写真による種の特定を行ったり、研究活動の舞台としても使うことがあります。時には乗客が簡単な研究を手伝うこともできるかも知れません。これはまたホエールウォッチングの経験に新しい広がりを与えてくれ、また学んだり、より関わっていると感じたりできる素晴らしい方法です。良いオペレーターはその地域のクジラ、イルカや他の野生動物について、できるだけ多く知るというニーズがあることを理解しています。進行中の研究は彼らのビジネスにその地域のクジラやその日々の、そして季節ごとの行動に関する、絶えず広がる知識の素を与えるという利益ももたらします。現地の研究団体はW/Wビジネスの利益から手数料を受け取ることで利益を得るかもしれません。

 

ホエールウォッチングの規制 

 

ホエールウォッチングに関する規制は既に多くの国にあり、いくつかの例がこのページの最後に紹介されています。規制が必要な理由はたくさんあります。

 

ツアーオペレーターの観点から見れば、ホエールウォッチングビジネスを長期的に持続させるために、最も大切な「資源」に気を配ることは不可欠です。適正な管理(適切な強制的規制を含む)がなければホエールウォッチングは野放しになり、無責任で「出来るだけ早く、出来るだけ多くお金を稼ぐ」姿勢の悪徳な業者にも解禁されてしまいます。もし産業自体が長期にわたって存続したいなら、ホエールウォッチングは規制されなければなりません。

 

規制は全ての認可を受けた業者に「公平な同じ土俵での勝負」の機会を与え、もし適正に実施されれば業者間の協力と忍耐を助長します。これが長期的に見れば成功するホエールウォッチング産業の土台となるのです。規制の欠如は水上で攻撃的な戦いを繰り広げることにもなりかねず、そうなればクジラもクジラを見る人も、そして必然的に全てのホエールウォッチング業者も悲しくも負けそうな形勢にあります。

 

倫理的に、ホエールウォッチングの旅を運営する人は誰でも、彼らの最も大切な「資源」であり、人々に見せるために連れて行くクジラとイルカの幸福な生活について気にかけるべきです。私たちには妨害を最小限に抑え、彼らの幸せを保証する、道徳的な責任があります。

 

ホエールウォッチングをする人々自身はクジラやイルカの快適な生活についてより気にかけるようになってきています。お金を払ってボートに乗るお客さんは、動物の邪魔をするホエールウォッチの旅の一部にはなりたくはありません。彼らは、「私たちはあの母子を困らせているのでは?」「なぜ彼らは私たちが近寄るといつも潜ってしまうの?」「なぜイルカは方向を変えているの?私たちから逃げようとしているの?」といった答えに困るような質問をすることでしょう。良くない評判はいつまでも残り、また驚くほど早く地球上に広まります。

 

最後になりますが、規制の枠組み内の適正で注意深いボートの運航をすれば常に良いホエールウォッチングができます。逃げていくクジラは観ても楽しくありませんし、クジラを観る人もクジラも両方が信頼のあるホエールウォッチングの恩恵を受けるのです。人々は自然に動くクジラ目動物を観るためにお金を払うのであって、ボートから逃げるクジラを見るためではないのです!

 

 

規制の考案を指揮するための枠組み

 

ホエールウォッチングのための国際的な規制はありません。これは全ての国の、全ての種や環境に適応する規制を作ることが不可能だからです。規制は様々な要因によって、場所により異なります。しかし全ての状況に当てはまる要素もあります(下記参照)。もう1つ私たちが学んだ重要なことは、ある国や地域でホエールウォッチング産業の立ち上げ中に、できるだけ早く規制を設けることが絶対に必要だということです。より多くの船が関わり、多くの人が生活のためにその産業に関わってくればくるほど、あらゆる種類の規制を導入し、監視し、実施していくことは難しくなります。だからこそ、ホエールウォッチング産業の規制を考える前にゆっくりと傍観して、手におえない状態になってしまうのでは利益になりません。新しいホエールウォッチング場所は他のより確立した場所での間違いから学ぶ機会があります。そしてだからこそ、本当に最初からの規制が必要なんです。

 

 

まだ施行されている規制がないクジラとイルカのウォッチングエリアのために 

 

最初のホエールウォッチング規制を考案する人々のために、私たちはいくつかの実用的な科学に基づいたガイドラインを作りました。もし規制が適正に執行されれば、観察される個々のクジラやグループのクジラ、個体群を傷つけることなくホエールウォッチングが行われ、続けられることになるでしょう。地元の経験を含む全ての関連のある情報を初めの「常識的な」規制の考案と実行に使うことができます。

 

そのような規制は以下の手引きを含むと良いでしょう。

         スピードを最小限に抑え(航跡が残らない程度のスピードが標準的)、スピード、方向、音の急激な変化を避ける。

         クジラやクジラの群れへの適正な接近距離を考慮する。

         全ての音源からの騒音を最小限に抑える。

         決して追跡したり、取り囲んだり、群れから引き離したりしない。

         クジラに近づく適正な角度や方向を限定する(接近禁止区域を守る)。

         ボートの数や動物と過ごす時間によってクジラに蓄積される影響を考える。言うまでもなく、船の過密を避けるため、クジラの近くにいる船の数を限定することが重要。

         クジラに自然と「遭遇」の持続時間をコントロールさせる。

         イルカのバウライディング(波乗り)-イルカの群れの間を通って、波乗りをせがむのは禁止すべき。もしイルカが波乗りをすることを選んだ場合、船は初めのコースとスピードを保つ。

         クジラやイルカと泳ぐ-これは許可すべきか?(WDCSの「イルカと泳ぐSwimming with dolphins」のページを参照)多くの国では現在クジラ目動物と泳ぐことは、人間の安全とクジラ目動物の保護という理由から禁止されている。

 

 

これらの規制は各々のボードとボートのグループのための「交戦規則」のつもりです。これらは実験や観察調査の結果、変更する必要が出てくるまで効力を持ちます。

 

ニュージーランド、アルゼンチン、ブラジルのホエールウォッチングに関する規制の例がそれぞれ関連ページでご覧頂けます。(英語のみ)